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植物を植えて育てるだけで土は肥沃になっていく!?土づくりにおいて植物と根の関係

 植物の根が団粒の発達に及ぼす効果は大きく、植物を植えて育てるだけで土は肥沃になっていく!?のかもしれません。

 今回はそんな根と土壌との関係のお話です。

 

 皆さんは、草原や牧草地で一面きれいな草原が広がっている景色に癒されたり、感動したりしたことはありませんか?

 有名な草原として、南から、熊本の阿曽の草千里ヶ浜や、山口の秋吉台、長野では乗鞍高原や上高地、美ヶ原高原、栃木の那須高原や北海道の釧路湿原など、日本には各地にきれいな高原がありますね。

 私も、ドライブなどや山登りなどで各地の高原を訪れた時は、一面の景色の荘厳さや雄大さに言い表せない感動を覚えたりします。

 

 しかし、そんなあたり一面を覆いつくした美しい草原のその下の土に気づいたことはありますか?

 そこには、たいていきれいな真っ黒い色をした、やらわかそうな土がコロコロと転がったいることでしょう。

 

 その理由は、植物の根が大きく関係しています。

 

 植物の根は、ミクロ団粒と結合し、マクロ団粒の形成を促進する効果があります。どういうことかというと、前回までたくさんお話してきた通り土壌には、小さな集まりのミクロ団粒という集まりがあり、これらミクロ団粒がたくさん集まって、植物の根や糸状菌菌糸などと絡まりあい、より大きな団粒であるマクロ団粒を形成し大きな団粒の塊が形成されていきます。

 

 要するに、植物の根自体が、土をやわらかくする効果があるということです!

 

この効果は、一年生の作物でも、当然ありますが、牧草地など多年生植物は、より植物の根の周りの環境(根圏土壌という)を発達させる能力が高いので、牧草地などの草原では、より土壌団粒が発達していきます。そのおかげで、日本に数ある有名な高原地帯では、美しい草原が広がり、その土壌は黒く豊かな環境になっているのです。

 

(草原が豊かな土壌を維持している理由は、他にもあり、人間が深く関わってきました。それは野焼きなどの人々の生活と暮らしの関わり合いの中で生まれたものなのですが、それはまたの機会にお伝えします。)

 

 これら、植物の根が影響を及ぼす効果には、根が分泌する“ムシゲル”という多糖類を主成分とする粘物質が関係しています。

 この粘物質は、ミクロ団粒を結合するだけでなく、土壌中の微生物も活動的にする効果があります。

植物の根の周りの環境=根圏土壌では、植物の根からのムシゲルだけでなく、糖類や有機酸、アミノ酸が分泌され、根の細胞や組織も脱落してきます。

 また、植物が光合成によって固定した炭素のうち、約半分の50%が地下部に輸送され、その半分=つまり25%が根の成長に使われ、残りの半分=25%は土壌中に放出されます。

 

 この様に、植物の根から放出されたムシゲルや他の有機物や、光合成による炭素などの有機物が、微生物が活動的になる養分となるのです。そのおかげで、根圏土壌に棲息する微生物と根圏土壌以外での微生物の数では、圧倒的に根圏土壌の方が多くなります。

 

 また、土壌中の細菌や糸状菌は、粘物質によってミクロ団粒を結合しマクロ団粒を形成しているので、土壌をふかふかのやわらかい状態にしています。

 この効果は、根圏土壌では、微生物の数が圧倒的に多くなるので、根圏土壌での効果の方が遥かに高いです。

さらに、マクロ団粒の形成において、糸状菌の菌糸によるミクロ団粒の結合効果が大きいが、根によるマクロ団粒の形成には、根から分泌される粘物質を利用して糸状菌が増殖する効果もあるので、相互作用で土壌を豊かにする効果がある。

 

 まとめると、

 

  • 植物の根から分泌される粘物質=ムシゲルは土を豊かにする
  • 植物の根から分泌される粘物質=ムシゲルは、土壌微生物も活発にさせる
  • 根の周り=根圏土壌では、粘物質や微生物の相互作用により、団粒構造が発達する
  • 一年性より多年性植物の方が効果は高い

 

早い話、植物を栽培し、根が発達するだけで土は豊かになるということになります。

土づくりには、時間がかかると言われますが、栽培を続けていくうちに土が柔らかくなっていったり

緑肥作物を栽培し鋤き込む効果にも、上記の様な効果が期待出来るのですね。

ただ、果樹や作物の様な実や収穫物の出来る植物では土壌中の栄養分を抜き取ってしまうので

改に、土壌中に栄養分を補給してあげる必要は当然出てきますよ。

 

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